北村薫作品中、わたしにとってはベストワンかも。

ひとがた流し

ひとがた流し


このたび、今年3月まで朝日新聞夕刊に連載されていた小説が
単行本化された。
連載終了時にも少しだけここでふれたが、今回まとめて読むことができ
とても満足している。
さて、以前「本の雑誌」の記事の中でだったか、評論家の北上次郎さんが
「人が死ぬ話はルール違反だ、だって感動的に決まってる」みたいなことを
おっしゃっていたと思う。
この小説を読み終わって、ふとこの言葉が頭に浮かんだ。
けれども、たとえルール違反でもいい。心の底から感動した。
そして、これほど全編にわたって共感できる小説には
なかなか出会えないとも感じた。
それは自分が主たる登場人物たちと同じ世代でもあるからだろう。
友情、時間、家族、恋愛、過去と現在・・・。
いろいろなことをたくさん考えながら、北村薫さん独自の
穏やかでふくよかな言葉綴りを味わう。
哀しいけれど、至福のときであった。
ミステリでない北村薫さん、どちらかというとわたしは
こちらのほうが好きなのかもしれないな、なんて思った。


それでは、今日はこのへんで♪