50年前の、大作家の日記

戦中派復興日記―昭和26年 昭和27年

戦中派復興日記―昭和26年 昭和27年

実を言うと、山田風太郎さんの小説は読んだことがない。
奇想天外な時代小説や探偵小説を執筆していらしたことを知るくらい。
この本も実家の父に借りて読んだ。
「面白いから読んでみろ」と渡されて
「ふーん、そういえば新聞の書評に出てたかも」と本を開いてみた。
そうしたら、ことのほか気持ちを引き付けられる日記だったのである。
このお方は本当に昔ながらの作家さんで
酒浸りだし、女は買うし、相当な原稿料がありながら借金ばかりしている。
しかし、その読書量は半端ではない。
執筆のスピードも桁違いに速そうだ。
本来、非常に頭脳明晰な方なのだろうが、そのへたれっぷりもお見事。
そして、恋愛関係にあった二人の女性についての記述もあり
当時の男性の女性観が現れていて興味深かった。
純文学と大衆文学がはっきりと分けられていた時代に
シニカルな視点を保ちつつ、後者の発展に力を尽くす姿が勇ましい。
また、昭和26〜27年の世相や物価についても克明に記され、
歴史的資料として読むのもまた面白い本である。
思いもよらず充実した読書の時間を過ごすことができた。
おじいちゃんありがとう(?!)。


それでは、今日はこのへんで。