道さんの、長い道
- 作者: こうの史代
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2005/07/28
- メディア: コミック
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こうの史代さんの漫画は「夕凪の街 桜の国」に続き
わたしにとって2冊目である。
この社会派漫画(・・・だと世間では言われているらしい)が
大変評価の高いものであるだけに
同じ出版社から次に出される作品は相当注目されていたと思う。
だけど、場違いみたいな視線を軽く受け流し
主人公の「道さん」はくすくす笑っていらっしゃるのだった。
親同士の冗談のあげく、まったく甲斐性なしのだんなさんと結婚、
それでも彼女は淡々と、楽しげに日々を過ごす。
心に清算しきれていない過去を隠して。
例えるなら道さんは、そう、菩薩さまのような女性なのだ。
それにしても、こうの史代さんの表現の豊かさ、洞察の深さたるや
素晴らしいものだと感動するばかり。
漫画で詩を綴っている、そんな気がする。
先にあげた「夕凪の街 桜の国」もある意味叙事詩の趣があり
難しい表現を使わず、とつとつと読者に語りかける。
温かな色彩、やわらかな画風、それはそれはしみじみと。
まるで「北風と太陽」のお日様のほうに
笑い、泣かされているようだ。
こんな漫画が、まだあったんだ!
こうの史代さんのこれからのご活躍を願ってやまない。
とりあえず次は「ぴっぴら帳」シリーズを読んでみようっ。
それでは、しばし月を眺めつつ閉店〜♪