日本語能力試験に出題された「ランドセル」とは?


出世ミミズ (集英社文庫(日本))

出世ミミズ (集英社文庫(日本))


一編一編はとても短いが、ユーモアたっぷりに「日本について、家族について語る」エッセイ集。
筆者のアーサー・ビナードさんは生粋のアメリカ人だが、日本語で詩をお書きになる方である。
落語や短歌、謡曲をたしなみ、好奇心旺盛、人と触れ合うのを心から楽しまれている姿が
実に印象的だ。
まず冒頭のエッセイ「トムとランドセル」で笑わせてくれる。
わたしたちが英語の読解問題でキーワードとなる一つの単語がわからず悪戦苦闘するように
友人の「トムさん」は「ランドセル」に苦悩したのである。
そんなコメディのような話題から、世相を反映する難しい考察に至るまで
アーサーさんの言葉は率直ですがすがしい。
表情が「ほ、ほ、ほ」とほぐれるような文章がたくさんある。
夜にじっくり読みふけるよりは、細切れの時間でいいからちょっと気分転換したいときに
似合う本かな、と思った。


では、今日はこのへんで。