本年最後の読書は「忘れていた本」でした。

檀 (新潮文庫)

檀 (新潮文庫)


実はこの本、積読本の最たるものだった。
何しろ、買ったことすら忘れられて数年間、
購入時のカバーをかけられたまま本棚に眠っていたのである。
昨秋の引越しのとき、ようやく発掘された・・・。
「あれ、こんなの持ってたっけ?」、本当にかわいそうな本なのだ。
こんなところから申し訳ないが、著者の沢木耕太郎さんにも
心からお詫びしたい(←何をえらそうに)。
でも、読んでみれば中身はもちろん面白かった。
『火宅の人』で知られる壇一雄氏との思い出を語る妻・ヨソ子さんを
見つめる、沢木視点の簡潔さは相変わらず小気味いい。
湿っぽくならず、突き放しすぎず、人間像を浮かび上がらせる様は
さすがだと思う。
また、個人的にこの「妻」の心情には理解できるところがあった。
どんないきさつからにせよ、結婚して家庭を持つことは
「内なる戦いの始まり」でもあるんだなぁ、と。
読後感もさっぱり、じんわり。忘れていてごめんよ、の一冊だった。
だけど未読の『火宅の人』は、もう読んでみたいと思わないかもな〜。


では、今年はこれにて、かな?
皆様よいお年を・・・♪