痛快の極み!これぞ映画化希望の青春時代小説。

夏雲あがれ(上) (集英社文庫)

夏雲あがれ(上) (集英社文庫)

夏雲あがれ(下) (集英社文庫)

夏雲あがれ(下) (集英社文庫)


いやはや本当に面白かった!
胸がスカッとするというのは、こういう感じなんだろう。
会話のテンポもよく、どんどん読める痛快な時代小説だ。
本書の前作にあたる『藩校早春賦』では十代半ばの少年だった
主人公・筧新吾は、7年のときを経て、立派な青年となっている。
否、立派ではなく相変わらず無鉄砲で一本気、
血気盛んなやんちゃ坊主というべきか。
そして、彼の何物にも変えがたい親友の太郎左と仙之助。
3人は再び藩の一大事に猛然と立ち向かう。
そのスリリングな駆け引きと緊迫感あふれる決闘シーンの
なんと面白いこと。
その間にも親友同士が子どものようにふざけあってみたり、
新吾が今では考えられないほど純情な恋になやんでみたりと
お約束すぎるほのぼのさに、つい心和んでしまう。
南伸坊さんの表紙カバーと挿絵が、これまた素晴らしい。
血なまぐさい場面も柔らかく、丸く包めてしまうので
痛快さや明るさを決して失わないのだ。
この作品は、まさに映画化するのにぴったり。
恋も友情も戦いもあり、謎解きもありの今風な時代劇になるだろう。
老若男女がひとえに楽しめる、親しみやすい作品である。
ちょっと長いけれど、普段時代ものを読まない方にも
ぜひお勧めしたい〜!


それでは、今日はここらで閉店♪