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ゆっくりさよならをとなえる (新潮文庫)

ゆっくりさよならをとなえる (新潮文庫)


こちらは数年前に文庫化されたエッセイ集である。
実をいうと、川上弘美さんの本って小説よりもエッセイのほうが
好みかなと思う。
熱烈なファンの方からすれば邪道だとお叱りを受けそうだけれど、
それは著者の「人と為り」がとてもよくわかるからだ。
「いままでで一番多く足を踏み入れた店は本屋」とおっしゃるだけあって
圧倒的な読書量は魅力的な言葉遣いをみれば充分に理解できる。
あ、こんなかたい言い回しは似合わないなぁ。
とにかくふんわりと、ゆるゆると、ときにちくっと針の一刺し。
まこと川上さんというお方は、毎日の生活をきちんをこなしながら
ふとした面白い、不思議なことを
自然に吸収していく才能を持っていらっしゃる。
そして、それを実に見事に言葉に表しているのだ。
お説教めいたことは一つも見当たらないけれど、
ささくれ立った気持ちの解消にじわりと効く文章だと思う。
さて、余談だが川上さんが理科の教師をされていたということを
この本で初めて知った。
これがどうも、いしいひさいち著『ののちゃん』に登場する
藤原先生みたいなんだよね・・・。
全く教師に向かない教師(?)、いえいえ、失礼なこと言って
ごめんなさい〜〜〜!!


それでは、今日はこのへんで♪