佐藤正午さんによる公開講座〜小説家篇〜

小説の読み書き (岩波新書)

小説の読み書き (岩波新書)


この本を読み始める前、『小説の読み書き』というタイトルからすると、
「小説家をめざす人が、既存の小説をどう読みこなし、オリジナルの
小説をどのように書きすすめていくのか」という意味かと思った。
でも、実はねらいがまったく違う。
「小説の書き方」ではなく、「小説家の書き方」を考える
文章読本であった。
近代日本文学の諸作家の作品、そしてそれらを構成する文章を
各々の癖や主義主張、こだわりを探しながら再度読み直す。
これが、とても面白かった。
小説を読むときの、自分の視点がかわりそうだ。
例えば、誰にでも「好きな小説家」と「あまり得意じゃない小説家」が
あるように思うけれど、
では具体的にどんなところが好きで、どんなところがイマイチなのか。
そのあたり、うまく言い表せないことがあるが、この本を読むと
「あ、だからこの小説家に対してこう思っていたんだ!」と
判ってくるのである。
志賀直哉ってやっぱり面白くないうえに少し変、とか
太宰治の文章って読みにくいとか。
そう感じたわけが明らかに〜!
最近じゃ知的好奇心がどんどん蒸発していくばかりの自分にも
楽しめる一冊だった。
さて、ここで問題。
わたしの文章の「クセ」、いったい誰の小説に登場するでしょう?
わー、えらそうに・・・(実は間抜けなワタシ)。


では、今日はこのへんで♪