満足度高し!のエンターテインメント小説。

神様がくれた指 (新潮文庫)

神様がくれた指 (新潮文庫)


いやぁ面白かった〜!
長めの小説だが、中盤からは怒涛の勢いで読んでしまった。
主人公は二人の青年。一人は出所したばかりの、孤高のスリ。
もう一人はギャンブルで身を崩しかけているタロット占い師だ。
お互いに思いきりついてない状況下で出会った二人は
次第に友情を深めていくが、同時に厄介な事件に巻き込まれ始める。
後は、クライマックスまで運命は高速回転する。
いいな、この畳み掛ける展開が!
映画化しても面白い小説だと思う。
佐藤多佳子さんの描く人物は、この方のどの小説を読んでも味がある。
お知り合いになりたい、できれば友達になりたいような
好ましい人たちがぞろぞろ登場する。
もちろん、卑屈さやずるがしこさや図々しさも併せ持ってはいるのだが
全部ひっくるめて皆、好人物なのだ。
(逆に言うと、悪を象徴する人間の描写が弱いような気もするが・・・)
また、主人公二人の職業(?)である電車内のスリとタロット占いの様子は
臨場感にあふれ、読んでいてついわくわくしてしまう。
実際にはスリになんて遭いたくないし、占いもなにやら眉唾物のようだけど
ちょっと体験してもいいかな、なんて危ないこと(特にスリ!)を
ふと考えてしまった。
読後感もさわやかな、読書の楽しさいっぱいの一冊である。


では、今日はこのへんで〜♪