[読書]周作さんと順子さん

夫の宿題 (PHP文庫)

夫の宿題 (PHP文庫)


著者の遠藤順子さんは、1996年に逝去された作家・遠藤周作氏の
奥様である。
この本は遠藤周作さんとの思い出の数々、小説執筆の裏話、
そしてだんな様の長く厳しい闘病記などが優しい言葉遣いで
丁寧に綴られたエッセイ集だ。
わたしは10代のころから遠藤周作さんのファンなので、
亡くなられたときはそれはもう悲しかった。
『深い河』を読んで泣いたばかりだったのに。
けれども、今、苦楽を共にしてこられた順子さんの文章を読み
遠藤文学はこうして生き続けていくのだなと
ほっとした気持ちになることができた。
誰もが体験するつらい病には「心あたたかな病院」を。
信者のために、また、そうではない人のためにも
日本的な感性に合ったキリスト教会の設置を。
今さらながら、遠藤周作さんはその著作の数々に
順子さんが提唱しているこの二つの問題を内包してるよな、と
納得するばかりだ。
周作さんにとって順子さんは、二人とない理解者であり
本当に素晴らしい人生の伴侶であったのだと切に思う。
うらやましい限り、わが夫婦もそんなふうになれるといいな。


では、今日はこれにて♪