舞台は東京、そして京都へ

冬のオペラ (角川文庫)

冬のオペラ (角川文庫)

北村薫さんの「名探偵・巫(かんなぎ)弓彦シリーズ」、中短編連作集。
「三角の水」「蘭と韋駄天」「冬のオペラ」の三篇を収録。
もう、思いっきり北村薫ワールド!
前半二つの短編で実に魅力的、しかしくすっと笑わせる主人公を活躍させ
まさに本編ともいうべき「冬のオペラ」が始まる。
語り口はやさしく、謎解きもどちらかといえば平易、
けれども刺されるような胸の痛みを覚える作品だった。
毎日をつつましく生きている善良な人々が、つい陥ってしまう落とし穴。
誰もが多かれ少なかれ抱いている「執着」のこわさを切に感じた。
そして、冬の京都の情景描写の美しさといったら。
風花、椿、枯山水、モスグリーンのコート・・・。
おまけに(いや、重要なキーワードなのだが)韋駄天やら足疾鬼まで登場!
謡曲と、かの有名なオペラの融合。むむむ、なんだかすごいっ。
名探偵の最後の言葉に、ちょっと涙が出そうになったワタシだった〜。


お盆の間にもっと本を読もう!
では、本日はこれにて閉店〜♪